「京都高台寺・遺芳席写し茶室」の移築再生
住宅の特徴
住宅の移転・新築計画の中で、築50年を超えた既存建物にある茶室(二畳向板・向切炉・逆勝手)及び2間続きの和室(6帖+8帖)を移築・再生。その他の新築部分(居間・食堂・台所・水廻り)と一体に設計いたしました。
大切にしたこと
茶室は京都高台寺・遺芳席の写しであり、忠実な移築・再生を目指しました。和室2間続きについては、原則として使用可能な材料は再使用。床柱、天井材などの劣化が著しい部分を新規といたしました。
詳細情報
担当会員 : 中俣知大 / 一級建築士事務所 数寄楽舎(有)
会員URL : http://sukiraku.web.fc2.com
所在地 : 薩摩川内市
延床面積 : 160㎡
茶室の移築復元
京都高台寺・遺芳席の写しの茶室(二畳向板・向切炉・逆勝手)の移築復元。床柱はサクラ皮付き (本歌は煤竹)。幕板は織部板。天井はスギへぎ板網代天井、煤竹棹縁、大きな円窓(吉野窓)と掛け障子付きの下地窓。カベはジュラク繊維カベ(新規)。点前畳には道庫(茶道具仕込みの物入れ)を附設いたしました。
和室の移築・再生
2間続きの和室の移築・再生。和室には今は珍しくなった簾戸(すど:サツマヨシ製)があり、季節により入れ替えます。空調のない時代の住まいの工夫がみられ、床柱は北山絞り丸太(傷みが激しいため新設)、落し掛け・床框は屋久杉。床脇はケヤキ。その他の造作材としてスギは再使用いたしました。天井材:新規(傷みが激しいため新規とし、埋め込み照明による現代風の棹縁天井)。亀甲柄を嵌めこんだおさ欄間は、精巧な工芸品です。
蹲の移設・再生
茶庭にあった蹲(つくばい)に水琴窟を仕込み(家業の造り酒屋の大壺を使用) 、移設・再生いたしました。爽やかな水音を楽しむことができます。中庭欄間は、桂離宮・笑意軒の意匠です。